メニュー

相続手続きの流れ | 加藤司法書士事務所

03-5344-9660【営業時間】月~日(祝日含む)9:00~20:00

相続手続きの流れ

相続の開始はいつから?

相続の開始はいつから

相続は被相続人が死亡した瞬間から開始されます。
そして、相続手続きの中で期限や時効期間が定められているものの多くは、相続開始日(つまり死亡日)もしくは相続の開始を知った日から起算されます。
相続手続きを進めるにあたっては、期限や時効期間が定められている事項を確認し、いつまでに手続きをしなければならないのか、どこで手続きをすればいいのか、手続きの手順はどうなっているのかをしっかり把握しておくことが大切です。

特に相続税の申告・納付は、相続財産の把握や遺産の分配、納税資金の準備等に思ったより時間がかかり、10か月の期限に間に合わなかったなんてこともあるため、注意が必要です。

主な手続きの流れと期限・時効期間

実際に相続が発生した場合に必要となる主な手続きの流れをご紹介します。
加藤司法書士事務所では、各手続きについてのご案内やお手伝い、各種専門家のご紹介など幅広いサポートを行っております。

 

期限・時効期間必要な届出・手続き
7日以内 ◎死亡届・診断書の提出
◎死体埋火葬許可証の取得
10日以内 ◎年金受給権者死亡届の提出
14日以内 ◎世帯主変更届の提出
◎国民健康保険・介護保険の被保険者証の返却
3か月以内 ◎相続の放棄、限定承認
4か月以内 ◎準確定申告・所得税の納付
10か月以内 ◎相続税の申告・納付
1年以内 ◎遺留分減殺請求権の行使
2年以内 ◎国民年金の死亡一時金の請求
◎葬祭費・埋葬料・埋葬費の請求
3年以内 ◎生命保険金(死亡保険金)の請求
5年以内 ◎遺族年金・寡婦年金の請求
 

7日以内

手続きの内容提出先・手続先期限・時効期間(初日不算入)
◎死亡届・診断書の提出
◎死体埋火葬許可証の取得
①被相続人の死亡地
②被相続人の本籍地
③届出人の住所地
のいずれかの市区町村
※被相続人の住所地は提出先には
ならないため、注意が必要です。
死亡の事実を知った時から7日以内

 

相続が開始したときにまずやらなければならないことは、死亡届の提出です。
死亡届と死亡診断書は1枚の紙になっており、医師に死亡診断書の部分を記入してもらい、死亡届は届出人が記入します。そして、記入した死亡届・診断書と死体埋火葬許可申請書を併せて提出し、死体埋火葬許可証を取得します。
なお、役所の受付時間外であっても書類の預かりはしてもらえます。ただし、受付時間外の死体埋火葬許可証の発行については市区町村によって取扱いが異なります(東京都内は受付時間外であっても発行してくれるところが多い)。
また、提出は死亡の事実を知った時から7日以内となっていますが、死体埋火葬許可証がないと葬儀ができないため、実際はもっと早く提出することになります。

 

死亡届の記入例(法務省のホームページより)

 

10日以内

手続きの内容提出先・手続先期限・時効期間(初日不算入)
◎年金受給権者死亡届の提出 ①年金事務所
もしくは
②年金相談センター
死亡の日から10日以内
(国民年金は14日以内)

 

亡くなった方が年金を受給していた場合には、厚生年金は死亡の日から10日以内、国民年金は死亡の日から14日以内に年金受給権者死亡届を提出し、年金受給の停止の手続きをしなければなりません。
また、亡くなった方の未支給の年金がある場合には、生計を同じくしていた遺族が代わりに受け取ることができるため、未支給年金請求書も併せて提出します(未支給年金請求権は5年で時効消滅)。その他、一定の要件を満たしていれば、遺族年金等を受け取れる場合があります(詳細は後述)。

 

年金受給権者死亡届(日本年金機構のホームページより)

年金受給権者死亡届の記入例(日本年金機構のホームページより)

 

14日以内

手続きの内容提出先・手続先期限・時効期間(初日不算入)
◎世帯主変更届の提出
◎国民健康保険・介護保険の
被保険者証の返却
被相続人の住所地の市区町村 死亡の日から14日以内

 

亡くなった方が住民基本台帳上の世帯主となっていた場合には、世帯主変更届の提出が必要となることがあります。具体的には、死亡した世帯主の他に15歳以上の世帯員が2人以上いた場合に届出が必要となります。
したがって、例えば夫婦2人だけの世帯の場合や、夫婦と15歳未満の子供のみの世帯の場合には、世帯主である夫が亡くなったとしても、世帯主変更届の提出は不要です。この場合には、自動的に残った15歳以上の世帯員(上記例でいえば妻)が世帯主となります。

 

また、亡くなった方が国民健康保険や介護保険に加入していた場合には資格喪失の手続きが必要ですが、死亡届を提出すれば死亡の事実は役所の方で分かるため、別途資格喪失の届出は不要です。被保険者証だけ返却することになります。もっとも、国民健康保険の被保険者証は、後述する葬祭費の請求の際に必要となるため、葬祭費の請求の手続きが終わった後に返却することになります。
なお、亡くなった方が会社の健康保険に加入していた場合には、通常は会社の方で健康保険資格喪失の手続きを行うため、被保険者証は会社に返却することになります(亡くなった方の扶養に入っていた場合には国民健康保険への加入手続が必要となりますので注意してください)。

 

3か月以内

手続きの内容提出先・手続先期限・時効期間(初日不算入)
◎相続の放棄、限定承認 被相続人の住所地の家庭裁判所 自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内

 

亡くなった方の相続人が、財産や債務を一切受け継ぎたくないという場合には、相続の放棄という手続きを行います。
また、亡くなった方の債務がどの程度あるか不明であり,財産が残る可能性もある場合等に,相続人が相続によって得た財産の限度で亡くなった方の債務の負担を受け継ぐ限定承認という手続きもあります。
この二つの手続きは必ず家庭裁判所にその旨を申述しなければならず、期限内に申述しないときは単純承認(被相続人の財産や債務をすべて受け継ぐもの)したものとみなされます。
なお、「自己のために相続の開始があったことを知った時」というのは、原則として、被相続人の死亡の事実及びこれにより自己が法律上相続人となった事実を知った時です。3か月という期間は、相続財産調査に時間がかかる等の事情がある場合には伸長することができます。

 

加藤司法書士事務所では、相続の放棄、限定承認のお手続きのサポートを25,000円~(税別)で承っております。ご自身でされるのには不安があるという方・手続きが面倒だという方は、お気軽にご相談ください。

 

4か月以内

手続きの内容提出先・手続先期限・時効期間(初日不算入)
◎準確定申告・所得税の納付 被相続人の住所地の税務署 相続の開始があったことを知った日から4か月以内

 

準確定申告とは、相続人が被相続人に代わって、1月1日から死亡した日までに確定した被相続人の所得金額及び税額を計算して申告することをいいます。被相続人が生前に確定申告義務を負っていた場合には、準確定申告をしなければなりませんし、そうでなかった場合でも、準確定申告によって還付金を受け取れることがあります。

 

準確定申告をする場合には、以下の点に注意が必要です。

 

①被相続人が1月1日から3月15日までの間に死亡しており、前年度分の確定申告を行っていなかった場合には、相続人は本年度分(1月1日から死亡日までの分)と前年度分(前年1月1日から12月31日までの分)の両方について準確定申告をすることになります。この場合の申告期限は、本年度分・前年度分共に相続の開始があったことを知った日から4か月以内となります。

 

②相続人が2人以上いる場合には、連署もしくは他の相続人の氏名を付記して各人が別々に提出する方法によって、全員で準確定申告をしなければなりません。

 

③医療費控除や社会保険料・生命保険料・地震保険料控除等の対象となるのは、死亡の日までに被相続人が支払った医療費・保険料等の額であり、例えば、被相続人の医療費を相続人が被相続人の死亡後に支払った場合には、被相続人の準確定申告において医療費控除の対象に含めることはできません(被相続人と生計を一にしていた相続人が自己の確定申告において医療費控除の対象にすることは可能)。

 

10か月以内

手続きの内容提出先・手続先期限・時効期間(初日不算入)
◎相続税の申告・納付 被相続人の住所地の税務署 相続の開始があったことを知った日から10か月以内

 

相続又は遺贈により取得した財産(被相続人の②死亡前3年以内に被相続人から贈与により取得した財産を含む。)及び③相続時精算課税の適用を受けて贈与により取得した財産の額の合計額が④遺産に係る基礎控除額を超える場合には、相続税の申告が必要です。

 

①被相続人が残したすべての財産が相続税の対象になるわけではなく、法律上非課税財産として定められているものについては、相続税の課税価格には算入されません。また、借金等の債務や未払いの税金、葬式費用については、相続税の課税価格から控除することができます。逆に、生命保険金(死亡保険金)や死亡退職金等、相続財産ではないにもかかわらず、みなし相続財産として相続税の課税価格に算入されるものもあります。

 

②被相続人の死亡前3年以内に相続人・受遺者が被相続人から贈与を受けていた場合には、その価額は相続税の課税価格に加算されてしまいます。そのため、生前の相続税対策として相続人・受遺者に現金等を贈与しても、贈与者が3年以内に死亡してしまうと相続税対策が功を奏さなくなってしまいます。一方、相続人・受遺者以外の相続によって財産を取得しない人(孫・甥・姪・知り合い等)に対してした贈与であれば、3年以内のものであっても相続税の課税価格に加算されないため、相続税対策としては有効といえます。

 

③相続時精算課税制度とは、その名のとおり生前に贈与した財産について相続時に精算して課税するという税金の後払いのようなものです。この制度を使えば、生前の贈与について2,500万円までなら贈与税が非課税となりますが、贈与した財産(死亡前3年以内のものに限らない)が相続の際に相続税の課税価格に算入され、相続税の対象となります。この制度を使うと、暦年課税(110万円の贈与税の非課税)が使えなくなったり、この制度により贈与を受けた土地については小規模宅地等の特例の適用がない等デメリットも多く、相続時精算課税制度をお考えの場合には、専門家に相談することをお勧めします。

 

④相続税の基礎控除額については、平成31年(令和元年)時点では、以下のとおりです。

image 03

※この場合の法定相続人は民法上の法定相続人とは若干異なり、法定相続人の数に含めることができる養子の人数に制限があります。また、相続の放棄があった場合でも、放棄がなかったものとして扱われます。

 

遺産の総額(①から③の合計額)がこの基礎控除額の範囲内であれば、相続税の申告も納税も必要ありません。もっとも、前記のとおり、相続税の課税価格に加算されるものがあったり、逆に控除されるものがあったりするため、安易に基礎控除額の範囲内に収まっていると判断するのは危険です。微妙なラインの場合には専門家に相談することをお勧めします。

 

相続税の申告・納付は、相続の開始があったことを知った日から10か月以内にしなければならず、遺産分割が完了しているか否かは関係ありません。遺産分割が未了の場合には、民法に規定する法定相続分又は包括遺贈の割合に従って財産を取得したものとして相続税の計算をし、申告と納税をすることになります。

その後、遺産分割が行われ、その分割に基づき計算した税額と申告した税額とが異なるときは、実際に分割した財産の額に基づいて修正申告又は更正の請求をすることになります。

また、相続税の計算において大幅な税額の軽減を受けることができる配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、その軽減によって最終的に相続税がかからなくなる場合であっても、相続税の申告書の提出が必要となるため、注意してください。

 

1年以内

手続きの内容提出先・手続先期限・時効期間(初日不算入)
◎遺留分減殺請求権の行使 相続人・受遺者・受贈者
に対する意思表示
相続の開始及び減殺すべき贈与
又は遺贈があったことを知った時から1年以内

 

遺留分減殺請求権を行使する前提として、まず自分に遺留分があるのか、あるとして遺留分侵害額はいくらなのかを算定する必要があります。
遺留分を有する相続人は、被相続人の配偶者、子(代襲相続人を含む)、直系尊属(子がいない場合のみ)であり、兄弟姉妹には遺留分がありません。
遺留分侵害額の算定については、相続財産(債務を含む)の額の確定から始まり、特別受益や生前贈与も考慮した上で複雑な計算式によって算定するため、専門家に相談することをお勧めします。

 

遺留分侵害額を算定した後の遺留分減殺請求権の行使は、必ずしも裁判上でする必要はなく、裁判外での行使であっても有効です。
行使の方法は口頭でも構いませんが、念のために配達証明付きの内容証明郵便で遺留分減殺請求書を郵送しておく方が望ましいです。もっとも、いきなり内容証明郵便を送り付けてしまうと争いに発展する恐れがあるため、話ができる相手であれば、まずは話し合いの機会を設けるべきです。

 

なお、令和元年7月1日より、遺留分減殺請求権は、遺留分侵害額について金銭の支払を請求できる権利(遺留分侵害額請求権)へと変わります。この改正により、請求を受ける側としては、不動産や有価証券等の現物を返還することができなくなり、金銭の準備しておかなければならなくなるため、注意が必要です。

 

加藤司法書士事務所では、遺留分減殺請求のための内容証明郵便の作成を15,000円~(税別)で承っております。ご自身でされるのには不安があるという方・手続きが面倒だという方は、お気軽にご相談ください。

 

2年以内

手続きの内容提出先・手続先期限・時効期間(初日不算入)
◎国民年金の死亡一時金の請求 ①被相続人の住所地の市区町村
②年金事務所
③年金相談センター
のいずれか
死亡の日から2年以内

 

国民年金の第1号被保険者(自営業者や学生等)として保険料を納めた月数が36月以上ある方が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けることなく亡くなったときは、その方と生計を同じくしていた遺族は、死亡一時金を受け取ることができます。

 

国民年金死亡一時金請求書(日本年金機構のホームページより)

 

国民年金死亡一時金請求書の記入例(日本年金機構のホームページより)

 

手続きの内容提出先・手続先期限・時効期間(初日不算入)
◎葬祭費・埋葬料・埋葬費の請求 被相続人の住所地の市区町村
(葬祭費の場合)
全国健康保険協会
もしくは各健康保険組合・共済組合
(埋葬料・埋葬費の場合)
死亡の日から2年以内
(埋葬料の場合)
埋葬を行った日から2年以内
(葬祭費・埋葬費の場合)

 

亡くなった方が国民健康保険・後期高齢者医療制度に加入していた場合には、葬祭を行った人は、被相続人の住所地の市区町村に対して葬祭費の支給の申請をすることができます。

亡くなった方が健康保険(社会保険)に加入していた場合には、被相続人により生計を維持されていた人は、全国健康保険協会もしくは各健康保険組合・共済組合に対して埋葬料の支給の申請をすることができます。

亡くなった方が健康保険(社会保険)に加入していた場合には、被相続人により生計を維持されていた人以外で埋葬を行った人は、全国健康保険協会もしくは各健康保険組合・共済組合に対して埋葬費の支給の申請をすることができます。

 

それぞれ呼び名は異なりますが、葬儀を行った(行う)人に対して支給される金銭であるという点では共通です。

葬儀にかかった費用について全額支給されるわけではなく、各自治体や組合によって異なりますが、通常は数万円程度支給されることになります。

 

3年以内

手続きの内容提出先・手続先期限・時効期間(初日不算入)
◎生命保険金(死亡保険金)の請求 各保険会社 死亡の日から3年以内
(かんぽ生命の場合は5年以内)

 

亡くなった方が生命保険(死亡保険)に加入していた場合には、保険金の受取人は契約内容に従い、各保険会社に対して生命保険金(死亡保険金)の請求を行います。
なお、生命保険金(死亡保険金)を相続人以外の人が受け取った場合であっても、相続税の課税価格に算入されることがあるため、注意が必要です。

 

5年以内

手続きの内容提出先・手続先期限・時効期間(初日不算入)
◎遺族基礎年金・遺族厚生年金
・寡婦年金の請求
①被相続人の住所地の市区町村
②年金事務所
③年金相談センター
遺族基礎年金は①(第3号被保険者の場合は②③のいずれか)
遺族厚生年金は②③のいずれか
寡婦年金は①②③のいずれか
支給事由が生じた日
(通常は死亡日)から5年以内

 

亡くなった方が国民年金もしくは厚生年金に加入していた場合には、その方により生計を維持されていた遺族が遺族年金や寡婦年金を受け取れることがあります。
遺族年金には、遺族基礎年金(国民年金の場合)と遺族厚生年金(厚生年金の場合)の二つがあり、亡くなった方の年金の納付状況等によって、いずれか一方もしくは両方の年金が支給されます。
寡婦年金は、国民年金の第1号被保険者(自営業者や学生等)として保険料を納めた期間(免除期間を含む)が10年以上ある夫が亡くなった場合に、10年以上継続して婚姻関係にあり、生計を維持されていた妻に対して60歳から65歳になるまでの間支給されます。
遺族年金と寡婦年金のいずれも受給のための要件がそれぞれあるため、ご自身に受給する権利があるか否かは手続先に確認するようにしてください。

 

遺族基礎年金請求書(日本年金機構のホームページより)


遺族基礎年金請求書の記入例
(日本年金機構のホームページより)


遺族厚生年金請求書
(日本年金機構のホームページより)


遺族厚生年金請求書の記入例
(日本年金機構のホームページより)


寡婦年金請求書
(日本年金機構のホームページより)


寡婦年金請求書の記入例
(日本年金機構のホームページより)

 

上記は相続が発生した場合の一般的な手続きについて解説しているものであり、個々の具体的事案によっては別途必要となる手続きが発生することがあります。
また、各自治体によって取扱いが異なる場合もありますので、実際にお手続きをされる際には、各自治体に確認するようにしてください。

相続に伴うその他の手続き

手続きの内容手続先
預貯金口座解約 各金融機関、郵便局
株式名義書換 証券会社もしくは株式発行会社
クレジットカード解約 クレジット会社
電気・ガス・水道の名義変更 電力会社、ガス会社、水道局
電話・インターネット等の解約・名義変更 NTT、携帯電話会社、プロバイダ等
自動車の名義変更 運輸支局(陸運局)
ゴルフ会員権の売却・名義書換 運営会社
運転免許証の返納 最寄りの警察署もしくは運転免許センター
パスポートの返納 最寄りの都道府県の旅券課
貸金庫解約 各金融機関
自動車保険・火災保険の名義変更 保険会社

※いずれも相続開始後できるだけ速やかに手続きをしましょう。

Copyright© 加藤司法書士事務所All Rights Reserved. login