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合同会社と株式会社の違い | 加藤司法書士事務所

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コラム

合同会社と株式会社の違い

カテゴリ: 会社・法人関係 公開日:2021年09月07日(火)

 

 

会社法の制定によって新しく認められるようになった合同会社は、株式会社と類似している点はありつつも、株式会社にはない性質を多数持っています。

 

ここでは、合同会社と株式会社の共通点や違いについて解説します。

 

 

1.合同会社と株式会社の共通点

合同会社と株式会社には共通点もいくつか存在します。

例えば以下の点については、合同会社も株式会社も同様です。

 

◎会社法を根拠にしている

合同会社も株式会社も平成17年に制定された会社法という法律に基づいて設立・運営されます。

 

◎出資者の責任が有限責任である

有限責任とは、出資者は自分が会社に対して出資した額の限度で、会社債権者に対して債務を弁済する義務を負うというものです。

これに対して無限責任とは、出資者が自分の出資額に関係なく、会社債権者に対して無限に責任を負うというものです。

合同会社の出資者である社員と株式会社の出資者である株主は、いずれも有限責任であるため、自身が出資した額を超えてまで会社債権者に対して債務を弁済する必要はありません。

 

◎出資額1円から1人で設立可能

合同会社と株式会社のいずれも出資が必要であるため、設立時に出資金額(資本金額)を設定しなければなりませんが、出資金額(資本金額)は1円から設定することができます。

ただ、実際に資本金1円で会社を設立することはあまりありません。

会社設立後の銀行口座の開設が困難であるなど、デメリットが多いためです。

 

また、合同会社と株式会社のいずれも社員(株主)1人から設立することができます。

これに対して、合同会社と同じく持分会社である合資会社については、設立にあたっては最低2人必要です(有限責任社員1人と無限責任社員1人)。

 

 

2.合同会社と株式会社の違い

合同会社と株式会社とで異なる点は多々ありますが、ここではどちらの会社形態を選ぶか判断する際の重要な違いについて説明します。

 

2-1.知名度・対外的な信用

合同会社を設立することができるようになって10年以上が経ちますが、株式会社と比べるとやはり知名度は低いです(株式会社は会社法制定前から存在しています。)。

特に高齢者の方は、会社といえば旧商法時代の株式会社か有限会社のイメージが強いようです。

また、対外的な信用についても、合同会社と比べると株式会社の方が信頼性が高いと言えるでしょう。

 

2-2.設立費用・設立手続きの煩雑さ

会社設立にあたっては最低限かかる費用があり、設立登記のための登録免許税や、公証役場での定款認証費用については避けられない出費となります。

ただ、会社設立登記の際の登録免許税額は、株式会社の場合が最低15万円となるのに対し、合同会社では最低6万円で済みます。

また、合同会社の設立にあたっては、株式会社で必須の公証役場での定款認証(費用は5万円~)が不要です。

そのため、株式会社に比べて合同会社の方が安く、手軽に設立することができると言えます。

 

2-3.機関設計の多様性

株式会社の場合、会社の機関として株主総会の他に取締役、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、監査等委員会、指名委員会、執行役など多数存在し、その組み合わせパターンも多岐にわたります。

会社の規模や経営方針によっていろいろな機関設計をすることができるのが株式会社の強みです。

これに対して、合同会社の場合には、機関といえるのは社員(業務執行社員・代表社員)だけであり、機関設計のバリエーションはありません。

 

2-4.資金調達のしやすさ

合同会社の場合には、資金調達手段として①既存の社員が追加出資を行う、②新しい社員を加入させる、③借入を行う、④社債を発行するという方法がありますが、社員同士の人的関係が重視される合同会社においては、②新しい社員を加入させるのは容易ではありません。

株式会社であれば、株式を上場すれば広く第三者から多額の資金調達を行うことも可能です。また、株式を上場していなくても、ベンチャーキャピタルなどから出資を受けることもできます(株式を発行できない合同会社では、ベンチャーキャピタルからの出資は難しいでしょう。)。

さらに、株式会社には新株予約権(※)という資金調達手段も存在します。

※新株予約権とは、株式会社の株式を、あらかじめ決められた額で取得することができる権利をいいます。

 

なお、合同会社よりも株式会社の方が、会社設立後に銀行口座を作りやすく、融資も受けやすいと考えている方も多いかと思いますが、合同会社設立が一般的となっている現在では、それほど影響はないと思います。むしろ、銀行側としては会社の事業内容や事業計画、資本金の額などの方を重視しているようです。

 

2-5.意思決定の早さ

株式会社の場合には、会社の意思決定は取締役や取締役会が行っていきますが、重要な事項についての意思決定には株主総会の承認が必要とされていることが多いです。

これは、株式会社では所有と経営が分離しているため、会社の実質的所有者(オーナー)である株主に、重要な意思決定についての判断を仰ぐ必要があるからです。

株主総会の決議が必要となれば、招集手続きも行わなければなりませんし、株主の数が増えれば増えるほど意思決定には時間がかかってしまいます。

 

これに対して、合同会社では所有と経営が分離しておらず、出資者である社員が会社を経営していくことになります(別に業務執行社員を定めることもできます。)。

合同会社では、意思決定のための総会を開催する必要もありませんので(定款で社員総会を設置することは可能です。)、煩わしい招集手続きなどに時間を取られることなく、スピーディーに意思決定をすることができます。

 

2-6.株主平等・損益分配自由

株式会社の場合、会社は株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならず、これを株主平等の原則といいます(会社法第109条第1項)。

そのため、株式会社が株主に対して利益配当をする際は、株式数に応じて平等に配当するのが原則です(なお、利益配当を優先的に受けることができる優先株式という種類株式が存在します。)。

非公開会社の場合には、株主平等の原則の例外として、定款で定めれば株主ごとに異なる取り扱いをすることも可能ですが、公開会社の場合にはこのような取り扱いは認められていません。

 

一方合同会社の場合には、幅広く定款自治が認められているため、定款で定めれば損益分配を自由に行うことができます。

例えば、各社員の出資額に関係なく、社員全員に対して同じ額の利益配当を行うことも可能です。

 

 

合同会社、株式会社に関する手続きは司法書士へ

当事務所では、合同会社や株式会社の設立手続きはもちろん、設立後の各種手続きについてのご相談も承っております。

これから合同会社や株式会社を設立しようという方、合同会社と株式会社の違いについて詳しく教えて欲しいという方は、会社法の専門家である司法書士までご相談ください。

 

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