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株式会社の事業目的の定め方 | 加藤司法書士事務所

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コラム

株式会社の事業目的の定め方

カテゴリ: 会社・法人関係 公開日:2021年11月30日(火)

 

株式会社の目的(事業目的)は定款の絶対的記載事項(定款に必ず記載しなければならない事項のことをいいます。)とされており、株式会社を設立する際にはこの事業目的を定める必要があります。

 

そして、株式会社は事業目的の範囲内でしか活動をすることができないため、事業目的の定め方は非常に重要です。

 

ここでは、株式会社の事業目的の定め方について解説します。

 

 

1.事業目的を定める際の最低限のルール

株式会社の事業目的を定める際には、最低限守らなければならないルールがあります。

 

1-1.事業目的が明確であること(明確性)

一般の人が見てもその事業目的が明確である(内容が理解できる)ことが必要です。

あまりに専門的すぎる用語や一般的に用いられていない外国語などは、明確性に欠けるものとして使用できない場合があります。

 

目的の明確性が認められるか否かは、広辞苑などの国語辞典に記載があるか、インターネットで一般的に検索されているかなどを基準に判断しますが、微妙な場合には事前に公証役場や法務局に確認することをおすすめします。

 

1-2.事業目的が適法であること(適法性)

犯罪などの違法行為を事業目的とすることは当然できませんが、「裁判の代理業務」や「相続税申告の代理業務」、「登記申請代理業務」といった特定の資格者(法人)にしか許されていない業務についても、株式会社の事業目的とすることはできません。

 

1-3.その他(具体性や営利性など)

現行の会社法では株式会社の目的の「具体性」は要求されていないため、例えば「商業」や「商取引」といったことを事業目的にすることも可能と考えられます。

しかし、株式会社の事業目的は、会社設立後の口座開設で審査対象となるため、あまりに抽象的な事業目的は口座開設の可否に影響を及ぼす可能性もあります。

 

また、株式会社は本来利益を追求する営利法人ですので、営利性が認められない事業、例えば、「ボランティア事業」や「政治献金」といったことは事業目的とすることはできないと解されます。

 

 

2.事業目的の内容や数について

株式会社の事業目的を定める際に、実際にどのように記載したら良いのか迷うこともあるかと思います。

 

2-1.文章は簡潔に最低限の用語を並べる

会社の事業目的は登記事項となっており、一般に公開されるものですので、わかりやすく簡潔に記載するのが原則です。

例えば、「不動産の売買、賃貸及び管理」、「飲食店の経営」、「自動車の製造及び販売」といったように「○○の○○」という形で表記する方法や、「建設業」「損害保険代理業」、「有料職業紹介事業」といったように「○○業」「○○事業」という形で表記する方法がよく用いられます。

 

2-2.事業目的の数に法律上の制限はない

定款で定める事業目的は最低1つ必要ですが、その数に上限はありません。

ただ、事業目的の数に上限はないといっても、あまりに数が多すぎる場合には、何をやっているのかわからない会社となってしまい、銀行の口座開設などで支障が出るおそれもあるため、注意が必要です。

株式会社の事業目的の数は、多くても20~30個程度でとどめておくのが良いかと思います。

 

 

3.事業目的を定める際に注意すべきこと

株式会社の事業目的を定める際には、いくつか注意すべき点があります。

 

3-1.法人が発起人となる場合

法人が発起人となって株式会社(子会社)を設立しようとする場合、設立する株式会社の事業目的と発起人である法人の事業目的に少なくとも一つの共通項目がなければなりません。

株式会社を設立する際には公証役場で定款認証を受ける必要がありますが、このとき公証人から発起人である法人と共通の目的を最低1つ入れるよう求められます。

 

これは、法人は定款で定めた事業目的の範囲内でしか事業を行うことができないところ、自身の事業目的と全く関連性がない事業を行う株式会社を設立することは、目的の範囲外の行為と考えられるためです。

 

3-2.許認可を要する事業を行おうとする場合

行政の許認可を受けなければすることができない事業を定款の目的に記載する際は注意が必要です。

介護事業や運送業など、定款に特定の文言を入れなければ許認可を受けることができない事業も存在します。

許認可に必要な文言を入れずに定款を作成して会社を設立してしまった場合には、設立後に会社の定款変更をし、目的変更登記をしなければなりません。

許認可に必要な定款の記載については地域ごとに異なることもありますので、心配であれば専門家に相談するか管轄の行政に確認することをおすすめします。

 

 

4.まとめ

株式会社の定款の事業目的を定める際に留意すべき点は以下のとおりです。

 

◎目的が明確かどうか

→一般人から見て理解できるかを基準にする。国語辞典などを参考に。

◎目的に違法性がないか

→常識的に考えて違法なものは目的にはできない。なお、資格業に注意。

◎利益を目的とした事業か

◎目的は簡潔にわかりやすく

◎目的の数に上限はないが、増やしすぎないように

◎発起人は法人か個人か

→法人の場合には自身の事業目的との共通項目を確認。

◎許認可が必要な事業か

→必要な場合には定款に記載する文言に注意。

 

当事務所では、株式会社の定款の作成はもちろん、事業目的の定め方や書き方についてもアドバイスしておりますので、お気軽にご相談ください。

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