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住所変更登記について | 加藤司法書士事務所

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コラム

住所変更登記について

カテゴリ: 不動産一般 公開日:2021年10月28日(木)
不動産の所有者として登記上の名義人となっている個人がその登記上の住所から引っ越しをした場合や、名義人となっている会社(法人)が本店を移転した場合には、登記上の住所を今現在の住所に書き換える登記(住所変更登記)を行います。

 

 

この住所変更登記は、相続登記と併せて近いうちに義務化されることになっていますが、相続登記義務化の方が話題になっているため、住所変更登記についても義務化されるということを知らない方が多いようです。

 

ここでは、住所変更登記が必要となる場合や、住所変更登記の原因、住所変更登記の義務化について解説しています。

 

 

1.住所変更登記が必要になるのはどんなときか?

不動産の登記記録(登記簿謄本)には、様々な情報が記載されており、不動産の所有者の住所もその一つです。

その住所に変更があった場合に行うのが住所変更登記です。

 

現時点(令和3年)ではまだ住所変更登記は義務ではないため、登記上の住所に変更があったからといって、ただちに住所変更登記を申請しなければならないというものではありません。

 

ただし、次の場合については、前提として住所変更登記を行う必要があります。

 

1-1.売買や贈与、財産分与などによって所有者の名義を変更する場合

自分が名義人となっている不動産を他の人に売却したり、贈与・財産分与をする場合には、不動産の名義変更(所有権移転登記)を行います。

このとき、売主や贈与者、財産分与する側の住所に変更がある場合には、所有権移転登記の前提として住所変更登記が必要になります。

所有権移転登記では名義を失う側の人の印鑑証明書を添付しますが、その印鑑証明書の住所と登記上の住所が異なっていると、別人と判断されてしまうため、前提として印鑑証明書の住所に登記上の住所を合わせる必要があるのです。

 

1-2.抵当権抹消登記を申請する場合

抵当権抹消登記は、不動産の名義人となっている所有者と抵当権者(お金を貸す側)とが共同で申請しますが、抵当権抹消登記申請時の所有者の住所が登記上の住所と異なっている場合には、抵当権抹消登記の前提として住所変更登記が必要になります。

 

なお、抵当権抹消登記申請時に抵当権者の住所が登記上の住所と異なっている場合であっても、その変更を証明する書類を添付すれば、住所変更登記は不要です。

抵当権者が銀行などの金融機関の場合には、本店移転によって住所が変わっているというのはよくあることですが、住所変更登記は不要です。

 

1-3.遺贈の登記を申請する場合

遺贈の登記は、遺言によって相続人以外の第三者に対して財産を承継させる場合に行うことが多い登記です。

この遺贈の登記は、受遺者と遺言執行者、もしくは受遺者と相続人全員の共同申請で行いますが、被相続人の死亡時の住所と登記上の住所が異なっている場合には、住所変更登記が必要です。

 

なお、遺言で相続人に対して財産を承継させる場合には、「相続させる旨の遺言」によって相続登記をするのが通常ですが、この場合には、被相続人の死亡時の住所と登記上の住所が異なっていても、住所変更登記をすることなく相続登記をすることができます。

ただし、登記上の住所から死亡時の住所までのつながりを証明できる書類(住民票の除票や戸籍の附票の除票など)が必要になります。

 

 

2.住所移転以外の原因による住所変更登記

住所変更登記は通常、住居や本社を他の場所に移転したことにより、現在の住所と登記上の住所が異なることになった場合に行いますが、実際に住居や本社を移転していない場合であっても、住所変更登記が必要になることがあります。

 

例えば、行政の都合により町名や地番が変更になったり、住居表示が実施された場合などには、実際の住居や本社の場所は変わっていなくても、現在の住所と登記上の住所が一致しなくなってしまいます。

そのため、町名地番が変更になった後や、住居表示が実施された後に不動産を売却したりする際は、前提として住所変更登記をしなければなりません(行政の方で住所変更の手続きをしてくれるわけではありません。)。

 

もっとも、行政の勝手な都合で住所変更登記が必要になってしまったにもかかわらず、その変更登記に登録免許税を納めなければならないとするのはあまりに酷なので、住所変更登記の際に町名地番変更証明書や住居表示実施証明書を添付すれば、登録免許税は非課税となります。

 

 

3.住所変更登記が義務化される?

3-1.住所変更登記義務化の概要

令和3年4月28日に相続登記義務化と併せて住所変更登記の義務化に関する改正法が公布されました。

住所変更登記が放置されることによって不動産の所有者の所在が不明になり、所有者不明土地が生じる原因となっていることから、所有者不明土地の解消のために、不動産(土地・建物を問わない)の所有者の住所変更登記が義務化されることとなりました。

 

住所変更登記義務化の改正法の施行日(法律が実際に適用される日)は、公布日である令和3年4月28日から5年以内(相続登記義務化は3年以内)の政令で定める日となっており、まだ現時点では施行日は決まっていません。

なお、一定の場合には登記官が職権で住所変更登記をすることができるという制度も創設される予定です。

相続登記義務化について詳しく知りたい方はこちら

 

3-2.どのような義務が課されるか?

今回の改正による登記義務の内容としては、不動産の所有者として登記されている名義人の住所や氏名について変更があったときは、その変更の日から2年以内に住所変更登記や氏名変更登記を申請しなければならないとされています。

所有者の住所に変更があった場合だけでなく、婚姻などにより氏名に変更があった場合にも登記義務が生じるため、注意してください。

 

3-3.登記義務に違反した場合にはどうなる?

住所変更登記義務に違反した場合のペナルティは、会社・法人登記における登記義務違反ほどは重たくはありません。

正当な理由なく住所変更登記や氏名変更登記を怠った場合には、5万円以下の過料に処されることになっています(ちなみに会社・法人登記における登記義務違反の過料は100万円以下となっています。)。

「正当な理由なく」登記義務に違反した場合に過料に処されるとなっていますので、例えば病気や入院など「正当な理由」があって住所変更登記や氏名変更登記ができなかったのであれば、過料は生じないということになります。

 

 

4.まとめ

この記事では、どういった場合に住所変更登記が必要になるのか、引っ越しをしたとき以外にも住所変更登記をする場合があるのか、住所変更登記の義務化とはどういったものか、について解説してきました。

〇住所変更登記が必要になるのは、不動産の売買、贈与、財産分与、抵当権抹消、遺贈などの登記を行おうとする場合

〇引っ越しをしていなくても、町名地番変更や住居表示実施があったときは住所変更登記が必要

〇5万円以下の過料が生じる住所変更登記義務化は令和8年4月28日までに開始

 

住所変更登記について詳しく知りたいという方は、司法書士までご相談ください。

 

 

 

 

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