みなし解散後の会社継続
令和元年12月10日までに事業を廃止していない旨の届出もしくは登記の申請をしていない休眠会社は強制的に解散(みなし解散)させられ、解散の登記が入っていますが、気付かずに事業を続けている会社もあるかと思います。→みなし解散についてはこちら
しかし、解散させられた会社は基本的に清算事務以外のことはできず、営業活動等も行うことができません。
また、解散した会社と取引をする相手方の地位を不安定にさせてしまうことからも、事業を続けていく場合には、会社の継続の手続きを早急に行う必要があります。
では、どのように継続の手続きを行うか?
まず、株式会社が解散させられると、取締役は当然にその地位を失い、会社に取締役は存在しなくなります(監査役はそのまま存続します)。
代わりに会社の清算事務を執行する清算人が会社の継続の手続きを行うことになります。
なお、清算人は、定款に定めがない場合には、解散前の取締役が就任することになるため、実質的には解散の前後で業務執行者は変わりません。
清算人は、会社を継続するためには、まず株主総会を招集し、会社継続の承認決議を得なければなりません。
そして、会社継続が承認されたら、新たに取締役となる者を選任し(解散によって取締役は存在しなくなっているため)、必要に応じて代表取締役・監査役等を選任します。
また、取締役会を設置する会社は、株主総会終了後に取締役会を開催して代表取締役を選定する必要があります。
これによって会社は復活し、取締役は事業を行うことができるようになりますが、対外的に会社が復活したことを証明するためには登記をしなければなりません。
登記の内容としては、
①清算人及び代表清算人の就任の登記
②会社継続の登記
③取締役及び代表取締役の就任の登記
が最低限必要となってきますが、会社の形態によっては別途、監査役の登記や取締役会設置の登記が必要になります。
また、現在の本店の住所が登記記録上の住所と異なっている場合や、会社の事業目的を変えて会社を継続していく場合には、併せて本店移転登記や目的変更の登記を行います。
上記①から③の登記に必要な書類は、以下のとおりです。
・定款
・株主総会議事録
・株主リスト
・就任承諾書(取締役、代表取締役のもの)
※解散前の取締役、代表取締役がそのまま清算人、代表清算人となる場合には、清算人、代表清算人としての就任承諾書は不要です。
・印鑑証明書(代表取締役のもの)
※代表取締役以外の取締役については、代表取締役を選定する株主総会に出席している場合には印鑑証明書が必要になります。
・本人確認証明書(印鑑証明書を添付しない取締役のもの)
・印鑑届書
・委任状(代理人が申請する場合)
また、①から③の登記にかかる登録免許税は49,000円(資本金が1億円超の会社は69,000円)となります。
登記を申請した後、1週間から10日程で登記が完了しますが、登記完了後に印鑑カードの交付申請をするのを忘れないようにしてください(今まで使っていた印鑑カードは使えなくなります)。
なお、みなし解散がされた後に会社を継続すると事業年度が複雑になるため注意してください。
具体的には、定款記載の事業年度開始日からみなし解散日までで一旦事業年度が区切られ、みなし解散日の翌日から会社継続の日(株主総会決議日)の前日までで1事業年度(清算事務年度)となり、さらに会社継続の日(株主総会決議日)から定款記載の事業年度末日までで1事業年度となります。
そのため、事業年度の途中にみなし解散と継続を行った場合には、決算申告を計3回行うことになります。
この場合の申告の期限は、いずれも各事業年度末日から2か月となっています。
会社継続の手続きは、みなし解散がされた後3年以内であれば可能ですが、会社によっては登記内容が複雑になることもあるため、心配だという方は専門家にお任せください。
当事務所では、会社の継続手続きについて、55,000円~(消費税込)で承っております。