会社解散の流れ(株式会社の場合)
会社が解散する理由は様々です。
例えば、会社が解散する理由として以下のようなことが挙げられます。
①赤字が続いて経営が厳しくなってきた
②経営者が高齢になってきたが、後継者がいない
③経営者が死亡して相続が発生したが、相続人が誰も後を継がない
④会社を設立した目的を達成したため、必要なくなった
⑤もともと休眠会社だったが、事業を再開する予定はないので閉鎖したい
⑥休眠会社のまま長年放置していたら、みなし解散をさせられた
⑦他社に吸収された(吸収合併)、もしくは他社と合併して新会社を設立した(新設合併)
これらのうち、①~⑤については、会社法の規定に従って会社の解散手続き行う必要があります。
以下では、株式会社の解散の流れについて解説していきます。
→なお、株式会社の解散にかかる費用についてはこちらをご覧ください。
1.株主総会を解散するための手続き
1-1.株主総会の決議
株式会社を解散する際は、通常株主総会を開催し、会社の解散について承認を受けることで、解散することができます。
会社解散の決議までの流れは、
①株主総会を招集する
取締役会を置いている会社の場合には取締役会決議で、取締役会を置いていない会社の場合には取締役の過半数の決定によって株主総会を招集します。
②開催日に株主総会を開催
株主総会において議決権がある株主のうち、議決権の過半数に達するまでの株主が出席する必要があります(代理出席を含む)。
③会社解散について株主の賛成を得る
会社を解散するに至った理由などを説明し、出席した株主に解散の可否について判断してもらいます。
会社を解散するためには、出席した株主の議決権の3分の2以上にあたる賛成票が必要です。
1-2.株主総会の決議が不要な場合
株式会社の定款に会社の存続期間が定めてあったり、会社の解散事由が定めてある場合には、存続期間の満了や解散事由の発生によって当然に会社は解散することになります。
この場合には、株主総会での解散決議は必要ありません。
2.解散後の手続き
会社解散後は、取締役はその地位を失っているため、代わりに清算人が様々な手続きを行っていきます。
2-1.清算人とは
清算人とは、会社解散後に取締役に代わって会社の経営(清算事務)を行っていく人のことをいいます。
清算人は次のように決まります。
①定款で清算人となる者を定めておく
②株主総会の決議で清算人を選任する
③定款に清算人の記載がなく、株主総会で清算人を選任しない場合には、解散前に取締役であった者が清算人に就任する
④上記①~③で就任する清算人がいない場合には、利害関係人の申し立てによって裁判所が清算人を選任する
2-2.解散後に必要な手続き
会社の解散後に清算人が行っていく手続きは以下のとおりです。
①解散登記・清算登記(清算人選任登記)の申請
管轄の法務局に会社の解散登記と清算人の選任(就任)の登記を申請します。
登記完了後には履歴事項全部証明書(会社謄本)を取得しておくようにしましょう。
②解散届の提出
税務署や役所などに会社解散の届出(異動届出書の提出)を行います。
また、会社が従業員に給料を支払っていた場合には、税務署に給与支払事務所等の廃止の届出も併せて行う必要があります。
③解散公告・個別催告
会社の債権者に対し、自身の債権を申し出るべき旨を官報に公告します。また、知れている債権者に対しては個別に通知をします。
この手続きには最低2ヵ月かかるため、解散後すみやかに手続きをするようにしましょう。
④税務署への確定申告
株式会社が解散すると、事業年度が変則的になるため注意が必要です。
具体的には、会社の解散日で一旦事業年度が区切られ、それまでの期間についての確定申告を行います。
そして、解散日の翌日から始まる1年間を1事業年度(これを清算事務年度といいます。)として各事業年度ごとに確定申告を行っていきます。
⑤債権者への弁済、残余財産の分配
会社の債権者に対しては、株主よりも優先的に債権を弁済していきます。
すべての債権者に弁済し終わってなお残余財産がある場合には、株主に対して分配がされます。
⑥決算報告書の承認
会社の債権者に弁済をし、株主に残余財産を分配して会社の財産をすべて処分したら、決算報告書を作成します。
決算報告書は、株主総会に提出して承認を受けなければなりません(会社に清算人会を置いている場合は、先に清算人会の承認を受ける必要があります。)。
決算報告書が株主総会で承認されれば、会社は清算結了となります。
⑦清算結了登記の申請
管轄の法務局に会社の清算結了の登記を申請します。
解散登記・清算登記(清算人選任登記)のときと同様、登記完了後には閉鎖事項全部証明書(閉鎖謄本)を取得しておくようにしましょう。
⑧清算結了の届出
解散時と同様に、税務署や役所などに清算結了の届出(異動届出書の提出)を行います。
3.会社解散にかかる期間
会社の規模にもよりますが、会社が解散を決めてから閉鎖されるまで、最低でも3ヵ月程度はかかると考えた方がよいかと思います。
特に時間がかかるのが会社債権者への官報公告と個別催告です。
各債権者の債権申出期間として2ヵ月以上の期間を設けなければならない上、官報公告掲載手続き自体にも1~2週間程かかります。
当事務所では、会社法に詳しい司法書士が会社の解散手続きをサポートいたします。
また、会社を解散した方が良いのかといったご相談や、事業承継についてのご相談も承っておりますので、会社の解散手続きに多数の実績がある当事務所までご連絡ください。