株式会社の解散にかかる費用
株式会社を設立する際にも費用はかかりますが、株式会社を解散して閉鎖する場合にも費用はかかります。
ここでは、株式会社を解散する際にかかる費用について解説します。
1.株式会社の解散から閉鎖(清算結了)までは時間がかかる
株式会社を解散して閉鎖するといっても、すぐにできるものではなく、順に手続きをしていくことが必要です。
大まかな流れとしては、①解散→②清算手続き→③清算結了(閉鎖)となっており、手続きには最低でも2ヵ月かかります。これは、会社債権者の債権申出期間として最低でも2ヵ月設けなければならないとされているためです。
また、解散登記や清算結了の登記は、登記を申請してから完了まで1~2週間程かかりますし、官報公告への掲載もすぐにできるものではなく、掲載日は申し込んでから1週間以上先になることが多いため、手続き全体としては3ヵ月程度見ておいた方がよいでしょう。
2.解散・清算手続きで発生する費用
株式会社を解散してから閉鎖(清算結了)するまでには、以下の費用が発生します。
2-1.解散時にかかる費用
◎登録免許税
株式会社を解散したときは、解散の時から2週間以内に管轄の法務局に対して解散の登記と清算人の就任の登記を申請しなければなりません。
その際、解散登記に3万円、清算人の就任登記に9000円の登録免許税がかかります。
また、監査役設置会社であった株式会社が、解散と同時に監査役を廃止する場合には、別途監査役退任登記の登録免許税が1万円(株式会社の資本金の額が1億円を超えている場合には3万円)、監査役設置会社の定め廃止の登記の登録免許税が3万円発生することになります。
なお、株式会社の監査役以外の役員(取締役など)については、解散と同時に強制的に退任となり、その登記も職権で行われます。
◎司法書士手数料
株式会社の解散登記、清算人就任登記等を司法書士に依頼する場合には、4万円~8万円程度の手数料が発生します。
◎税理士手数料
株式会社が解散した場合、事業年度が解散日で一旦区切られ(解散事業年度)、解散日の翌日から2ヵ月以内に確定申告を行う必要があります(解散確定申告)。
この確定申告の手続きを税理士に依頼する場合には、その手数料が10万円~20万円程度(会社の規模による)かかります。
◎過料
役員変更の登記などを怠っていた会社が解散をした場合、裁判所から過料の通知が来ることがあります。
会社法上の手続き懈怠や登記懈怠による過料の金額は、会社法上100万円以下となっていますが、会社の規模や手続き・登記を怠っていた期間によって異なってきます。
2-2.みなし解散となった場合
会社が長年登記をすることを怠っていると、その会社はもはや活動していないものとして強制的に解散させられてしまいます(みなし解散)。
みなし解散させられると、解散登記は法務局の職権でなされるため、3万円の登録免許税はかかりません(清算人就任登記の登録免許税9000円は発生します。)。
ただし、みなし解散になっているということは、長年登記を放置してきたということなので、それ相応の過料が発生します。
2-3.清算手続きにかかる費用
◎官報公告費用
株式会社は解散した後、遅滞なく、債権者に対して会社に対する債権を申し出るよう官報に掲載し、かつ、個別に通知しなければなりません。
官報は国が発行する機関紙ですが、無料で掲載できるわけではありません。
官報掲載費用は公告の量によって決まりますが、解散公告の場合だと3万円~4万円になります。
◎登録免許税
清算手続き中に清算人を追加したり、清算人が退任したりした場合、清算人の変更登記をしなければなりません。
その際、登録免許税として6000円がかかります。
また、清算手続き中に会社の本店を移転したり、商号を変更することも可能で、これら登記事項に変更があった場合には登記が必要になるため、登録免許税が発生します。
◎司法書士手数料
清算手続き中の清算人変更登記や本店移転登記などを司法書士に依頼する場合には、司法書士手数料が発生します。
◎税理士手数料
清算手続き中も事業年度(清算事務年度)毎に確定申告を行う必要があります。
解散後の事業年度(清算事務年度)は、解散日の翌日から始まる1年間となりますので、清算手続きが何年にも渡る場合には、毎年確定申告をすることになります。
この確定申告を税理士に依頼する場合には、10万円~20万円程度(会社の規模による)の手数料がかかります。
2-4.清算結了にかかる費用
◎登録免許税
株式会社が清算結了した後は、清算結了の登記を申請して会社の登記記録を閉鎖することになりますが、その際、登録免許税として2000円がかかります。
◎司法書士手数料
清算結了の登記を司法書士に依頼する場合には、その手数料が発生しますが、通常は解散登記・清算人就任登記とセットで依頼するため、解散登記・清算人就任登記の費用に含まれることが多いです。
個別に清算結了の登記だけを依頼する場合には、1万円~2万円程度の手数料になることが多いです。
◎税理士手数料
解散時の確定申告と各清算事務年度における確定申告に加えて、清算手続きが一通り終わって残余財産が確定した際にも、最後の確定申告を行う必要があります(清算確定申告)。
この確定申告を税理士に依頼する場合には、手数料が10万円~20万円程度(会社の規模による)かかります。
3.会社の解散・清算手続きに関するご相談は司法書士まで
会社の解散・清算手続きにはある程度の費用がかかってしまうことは避けられませんが、手続きをせずに放置したままでいると、過料によってさらに大きな出費をすることになってしまいます。
解散手続きをせずに事業承継や吸収合併によって会社を引き継いでもらうという方法もありますので、お困りの方は司法書士までご相談ください。